AVA-net 海外 ニュース No.129 2008.3-4
翻訳:宮路正子
アメリカ獣医師会の執行委員会は、動物福祉方針の改定など、動物福祉委員会が提出したいくつかの提案を承認した。
<不要動物、あるいは里親への譲渡に不適当な動物の安楽死>
執行委員会は、不要動物の安楽死に関する方針の改定も承認した。新しい表現は範囲を広げ、里親への譲渡には不適当な動物も含み、安楽死を行う資格のある人間についてより詳細に定義し、安楽死に関するAVMAガイドラインを参照している。改定された方針は以下のとおり。
* AVMAは、有資格者がAVMA安楽死ガイドラインに記述されているような適切な人道的方法によって行う場合、不要動物や里親への譲渡に不適当な動物の安楽死には反対しない。
<研究、実験、教育における動物の使用>
執行委員会が承認したもうひとつの改定された方針は「研究、実験、教育における動物の使用」だ。この方針は、動物の権利運動過激派の行為に影響を受ける個人や組織の範囲について参照し、
既に述べられている専門的、科学的、道義的な義務に加え、動物使用に関連する倫理的責任を認識している。改定された方針は以下のとおり。
* AVMAは、動物が、人間と動物の健康と福祉の継続的な改善のための研究、実験、教育において中心的かつ不可欠な役割を果たすこと、また、研究、実験、教育に使用される動物に対する人道的なケアが動物の使用において不可欠であることを認識する。これらのことを踏まえて、AVMAはラッセルとバーチが提唱した3つのR(1959)に統合された、実験方法を改善し動物の苦痛を取り除く、あるいは減少させる;健全な実験計画と共に動物の数を削減する;可能な限り、動物を使用しない方法に置き換える、という原則を支持する。
* 研究、実験、教育における動物の使用は、専門的、科学的、倫理的に独自の責任を伴う特権である。AVMAはすべての動物が適切に世話を受けることを奨励するが、有意義な研究、実験、教育のプログラムにおける動物の使用を擁護、促進するものである。
* AVMAは研究、実験、教育における動物の使用に関わる個人、施設、あるいは三次組織に向けられるすべての暴力、破壊、あるいは脅迫行為を非難する。
<無作為に入手した犬や猫の研究、実験、教育のための使用>
執行委員会は、無作為に入手した犬や猫を研究、実験、教育のために使用する際の方針を、動物福祉法の要件、そして、そのような目的のための動物の取得と使用に適用される地元条例や州法に沿ったものとなるよう改定された方針を承認した。改定された方針は以下のとおり。
* 無作為に入手した犬や猫の使用を慎重に管理することは、動物と人間双方の健康と福祉の改善に大きく貢献する。したがって、AVMAは、無作為に入手した犬や猫を、研究、実験、教育のために慎重かつ人道的に使用するのは、以下の条件を満たせば、十分に正当化されるものだと信じる:
* 当該の研究、実験、教育を行う団体が、法的必要条件やそのような用途のための犬や猫の取得、ケア、使用に関するガイドラインすべてを満たす場合;
* 審査官が、そのような犬や猫の必要性を慎重に審査し、使用する動物種が適切であることを然るべく証明し、プロトコルの必要性を満たす最低数を慎重に決定する場合;
* 適切に検査された犬や猫だけが合法に取得されるよう、十分な安全措置をとり、かつ、プロトコルの必要性を満たす最低数を慎重に決定する場合;
* 研究、実験、教育に使用する犬や猫の健康を最良にするための予防的措置をとる場合。
<PMU採集業界が使用する雌馬の管理>
執行委員会はまた、妊娠中の雌馬の尿(PMU)採取業界が使用する雌馬の管理に関するアメリカ馬臨床獣医師会(AAEP)の方針をAVMAが支持することを再確認した。この方針には、AVMAがレビュー・承認したのが実施基準のどの版なのかを示す注釈も含まれる。この注釈付きの方針は以下のとおり。
AVMAは、「PMU採取業界が使用する雌馬の管理」に関する以下のAAEPの見解を支持する。
* 立ち入り調査や現在進行中の研究のピアレビューを検討した結果、AAEPは妊娠中の雌馬からの尿の採取、その子供の世話を、推奨される実施基準*に則って行うことは、馬を虐待する、適切な世話を怠る、あるいは非人道的に扱うことなく人類の利益のために商品を生産するため、馬の責任ある管理を行うことになると考えている。
※AVMAがレビューした、PMU研究委員会作成、マニトバ・アグリカルチャー&アースト・オーガニクス発行の、
「PMU業務における馬のケアと扱いについての推奨される実施基準」2007年度版は以下で読むことができる。
www.naeric.org/inc/pdf/codeofpractice.pdf
<娯楽、ショー、展示に使用する動物>
執行委員会は「娯楽、ショー、展示に使用する動物」と題された代替方針を承認したが、これは今まで3つに分かれていたAVMAの方針をひとつにまとめたもので、内容は以下のとおり。
* AVMAは、見世物興行、ショー、展示、映画、テレビにおける、連邦や州の動物保護法、地元動物保護条例に則した、人道的かつ倫理的な動物の使用を支持し、また、見世物興行、ショー、展示、映画、テレビで使用する動物に関わるすべての団体が適切なガイドラインあるいは基準を作成、実施、施行することにより、獣医療の提供を含む動物の人道的な扱いが保障されることを奨励する。
* さらに、AVMAは、動物を使用するどのような見世物興行も、怪我などを最小限に抑えるように行い、獣医療を提供し、必要時にはすぐに利用可能であることを推奨する。このような興行には、動物展示会、ドッグレース、犬ぞりレース、野外実験、競馬、ポロ、ロデオなどが含まれる。AVMAは、競争に使用する動物の能力、身体の構造、外見、その他の機能に変化を与えることを目的とする薬物、栄養価のない物質、手順の不正使用を非難し、AVMA会員には、そのような行為は適切な当局に通告することを促す。
* AVMAはまた、生きた動物をレース用の犬のトレーニングのために使用すること、連邦馬保護法で定義されている「ソアリング」(馬の身体にやけどを負わせる、傷をつける、などの行為)を非難する。
執行委員会は、AVMA覚書と一連のAVMAガイドラインをまとめ、新しく「動物管理団体や動物福祉団体と共に活動する獣医師および獣医師会のためのAVMAガイドライン」とした代替方針も承認した。これは、まず、利害関係のある団体から意見を集め、AVMA動物福祉委員会が複数の方針をまとめて重複する部分を削除し、獣医師や獣医師会、動物管理機関、動物福祉団体の役割についてより包括的にしたものだ。これらのガイドライン、その他のAVMAの方針は、以下で読むことができる。
http://www.avma.org/issues/policy/default.asp
執行委員会はまた、福祉委員会が提案した、実験動物研究協会(全米科学アカデミー傘下の全米研究評議会)の「前大学教育レベルにおける動物の使用」に関する方針の再承認を、若干の校正を加えて承認した。
方針の変更に加え、執行委員会は動物科学協会連盟の、動物のケア、使用、基準についての科学提言委員会との新たな連携を承認した。この連携関は、両団体の知識基盤と影響力を広げ、適切な場合には動物福祉方針を統一し、問題への取り組みに際し、労力の重複を阻止しようというものである。両団体とも、動物福祉に対する科学に基づくアプローチを支持している。
2008年1月1日
アメリカ獣医師会オンライン・ジャーナル
http://www.avma.org/onlnews/javma/jan08/080101c.asp