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 HOME > 海外ニュース > 【イギリス】 無視された異種間臓器移植に関する懸念  
 

海外ニュース

【イギリス】
無視された異種間臓器移植に関する懸念

AVA-net News No.103 (2003.11-12)
翻訳:宮路

 動物の臓器を人間への移植に使用することに対して深刻な憂慮を表している報告書が、イギリス政府高官によって隠蔽されていた。

 異種間臓器移植が法的・倫理的にどのような問題を含むかを調査するために厚生省から委任を受けて作成された報告書は、議論の的となっている異種間移植を推進するための戦略を組み立てるために意図されたものだった。

 しかし、厚生省から調査を委任されたグラスゴー大学の独立諮問委員の結論は異種間臓器移植にとって壊滅的なもので、動物の臓器移植は放棄し、他の代案を探すべきだと警告しており、異種間臓器移植が移植順番待ちリストの、何千もの致命的な疾病を抱える人々に新しい臓器を提供できるという可能性に致命的打撃を与えかねない。

 報告書は、政府が異種間臓器移植に関する倫理的問題、そして市民の抱く懸念を無視しているだけでなく、移植が患者にとって非常に危険な可能性もあるため、政府は何百万ポンドもの訴訟を抱えるかもしれないという。

 グラスゴー大学のマクリーン教授とウィリアムソン博士が、16ヶ月をかけてまとめた異種間臓器移植の適法性に関する700ページの報告書は、関係者の多くから最も包括的な分析と見なされている。

 報告書は、人体内にブタの細胞や臓器を移植した結果として致命的に為り得るウィルスが出現した場合、移植に関わる国立保健サービス局(NHS)や企業は、巨大な訴訟を抱え込むことになるだろうと警告している。また、移植が新しいHIVタイプのウィルスを作り出すことにもなりかねないと警告する専門家もいるが、これによる疾病が世界中に広まった場合、国際法違反で政府が訴えられることも考えられる。

 実際問題として患者は、死か、一生涯観察下に置かれること、無防備な性行為を避け、次の世代に疾病を移すことを避けるために子供を持たないことにすら同意するかを選ばなければならない。

 何年もの間、異種間臓器移植は、臓器提供者の致命的な不足のためにイギリスで順番待ちリストに載っている患者の3分の2が死亡しているという問題を解決するための対策として歓迎されてきた。研究者は、人間とブタの臓器の類似性のためにブタが移植用代替臓器の提供動物としては最良の候補だと見なしており、人間の免疫が拒絶反応を起こさないように、遺伝子組み換えを行ったブタを生産する企業にとっては、数十億ポンドもの価値がある国際市場がかかった問題だ。

 異種間臓器移植という概念が受け入れられるようにするために、政府は2年前に移植に関する3つの調査を委任し、そのうち2つ、疾病伝染の危険と動物臓器移植の現実性、については、既に公表されている。

 この最後の、最も議論の的になっている内容の報告書をまとめた専門家達は、政府高官から6月19日付で、この報告書の内容は公表しないという手紙を受け取って愕然とした。代わりに、政府は、この報告書の内容が、政府に対して専門家の立場から助言を行う英国異種間臓器移植暫定諮問委員会(UKXIRA)の要求するものを満たしておらず、バランスを欠いた箇所もある、と主張したが、報告書を公表しないことに対して、「臓器農場」の設立について倫理面から深い憂慮を訴えていた動物福祉団体は憤慨した。

 動物の権利団体、Uncaged Campaignsの代表ダン・ライオンズは、政府が、自ら委任した専門家が作成したこのような重要な報告書を隠蔽するということは邪悪な行為以外の何物でもなく、オープンで民主的な議論を重んじるという政府の主張がまやかしであるのは火を見るより明らかだ、という。

 政府がこの報告書を公表しないことについて、報告書の共同執筆者ウリアムソン博士は、異種間臓器移植が提示する本質的な倫理的問題についてUKXIRAが十分検討するつもりはないということを示しているという。

 報告書によると、異種間臓器移植の将来にとって破滅的ともいえるのは、新しい疾病の出現から生じる法的問題だという。 多くの専門家が、人体にブタの組織や臓器を移植することで新型ウィルスを作り出すのではないかと憂慮する。ブタ・ゲノムの中にはブタ内在性レトロウイルスというウィルスDNAの塊が存在し、これはブタには危険でないが、人間の体内では予測不可能な影響を引き起こす。

 しかし、ブタから人間への臓器移植に関する研究は、人間の臓器が不足していること、移植に伴う問題を克服することができるという科学的確信があるために継続されている。 実際、異種間臓器移植はイギリスとアメリカでは法律で禁止されているが、政府当局はいまだ企業からの実験申請書を受理している。

 クローン羊のドリーの作製にあたったPPL Therapeutics が、動物から人間への臓器移植が2年以内に開始できる可能性があると発表したことで期待が持たれるよう、その後、臓器を移植された患者が拒絶反応を起こさないように遺伝子操作されたクローン子ブタが誕生した。

 しかし、マクリーン教授は、病に侵された、あるいは損傷した臓器を修復するための幹細胞の使用などといった他の技術の適法性に関する問題も考慮されなければならない、このような治療が存在する、あるいは妥当な期間内に開発することが可能な場合、異種間臓器移植を倫理的に正しいと認めるのはより困難になるという。

 厚生省のスポークスマンは、この分野における最近の状況をも考慮に入れた、さらなる検討が必要かどうかをUKXIRAが考慮していたと説明し、政府の報告書としてグラスゴー大学のものを公表する予定は現在ないが、作成者がそれを公表するのは自由だとコメントしている。

(Observer紙)

 

 

 
 
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