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法律

「動物実験は必要不可欠」か?

環境省「実験動物の基準」素案は
価値判断の自由を奪う思想統制ではないか

AVA-net News No.116 2006.1-1 (一部内容をアップデート)


 動愛法に基づく実験動物の基準が25年ぶりに改正されることになり、12月21日、環境省の動物愛護部会でその素案が公表されました。
 2006年1月4日(水)〜2月3日(金)まで、意見募集(パブリックコメント)が行われています。

 たいへん残念ながら、今回出されている基準改正案は、国内外の動物実験に対する社会的変化に対応していないばかりか、ある意味恐ろしい思想統制を強いようとしていることを指摘したいと思います。

■「動物実験は必要不可欠」か!?

 素案の第1 一般原則 基本的な考え方として、「動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものである」と記されています。

 「必要であり」「不可欠である」という表現は、価値判断を国民に強要するものです。動物実験は、それらの研究開発の一部分であるとしても、その全体ではありません。この表現だと、動物実験に代わる方法に取り組もうとしている人々に、その選択の自由を許さないという意図を含むことになり、容認できません。

 たとえば、家庭動物の基準に「家庭動物は、人の家庭に必要不可欠である」と記されるとしたら、どうでしょうか。あたかもすべての家庭で動物を飼育せよという命令のように思えるでしょう。法規にこのような押し付けがましい文言が許されるはずがありません。

 そもそも国の法規は、存在する行為に対する基準を定めるものです。動物実験の価値判断や必要不必要性の議論に立ち入ることは、思想信条の選択の自由を犯すものとなりかねません。

◎「必要不可欠」の文言は削除すべきです。

※ちなみに文部科学省の動物実験指針作業部会の原案でさえも「必要不可欠」ではなく、「やむをえない」という表現になっていました。

■実験動物への「感謝の念」とは?

 同じく、一般原則に、「動物に対する感謝の念及び責任をもった適正な飼養及び保管並びに科学上の利用に努めること」という記述があります。

 この表現は、どんなに無意味で残酷な動物実験をしていても「感謝」さえすればよいというご都合主義としか受け止められません。合理的な根拠に基づいて動物の苦痛や犠牲の数を減らしていこうとする努力をないがしろにするものです。

 そもそも感謝や愛情といった情緒的な表現は、個人の内面の情動であり、万人に適用される法規の言葉として不適切です。

◎感謝の念云々を削除し、動物の生理、習性、生態及び行動的特性等の客観的な理解の上に適正な取扱いをすべきことを明記すべきです。

■実効性のない文言

 本基準の全体で、「努めること」と書かれた箇所は22箇所にもおよびます。基本原則までもが努力程度のものとなっています。

 また、これはというところでも、「実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で」という但し書きがつけられており、この付言によって基準の実効性はないも同然となっています。ちなみに、この記述は全体で11箇所もああります。

 結局のところ、「実験等の目的の達成」と言いさえすればどんな激しい苦痛を与える実験も許されることになり、生命倫理の観点からの歯止めが何もないような基準となっています。

◎動物に耐え難い苦痛を与える実験はしてはならないこと、「実験の目的」よりも生命倫理が上位の概念であることを明記するべきです。

■本基準の適用範囲の問題

 実験動物取扱い業者は、動物取扱業の登録義務から除外されています。法改正当時、実験動物業者はまったくの野放し状態になるのかという質問に対して、実験動物の繁殖・販売業者には本基準が適用されるとの説明がなされていました。しかし、この基準案を読む限り、一見、そのことは明らかではありません。このままだと生産業者にはいかなる規制もかからないという誤解がはびこるおそれがあります。実験動物販売業者を、動物取扱業の登録制からわざわざ除外したことの社会的責任を問われます。

 実験動物の生産者には、農家が副業として実験用にウサギやヤギ、ブタを飼育している例が多々あり、また、犬猫のブリーダーが売れ残りを実験用に販売する行為もあります。屋外にいる猫を捕獲して実験に売り飛ばしたり、野生のニホンザルを違法に捕獲して販売する業者もいます。

 この業界が闇の中にあることは許されるべきではありません。動物の仕入れ、販売等の動物の取引を行うにあたっては、その相手方が関係法令に違反していないこと及び違反するおそれがないことを確認する制度が必要です。

◎実験動物の生産、繁殖、輸入、代理等の業者もこの基準の遵守義務があることを明確にすべきです

 また、畜産を目的とする実験動物の管理者は適用除外とされていますが、これもご都合主義的で、合理性がありません。

 環境省は産業動物の基準が適用されると説明していましたが、この書き方だと、畜産目的の実験動物にはいかなる基準も適用されないという誤解を与えかねません。

 現在、生命科学の研究は、人体、実験動物、家畜の区分けが限りなくボーダレス(境界の融合)になりつつあります。このような適用除外が非合理的であるばかりでなく、21世紀の生命科学研究のあり方はいかにあるべきかという根本的な哲学の欠如を露呈しています。

◎畜産目的であっても実験動物である限りは本基準が適用されることを明確にすべきです。

■環境省の実験動物小委員会の構成について

 基準案の検討を行う環境省の実験動物小委員会については、その委員の構成を見て、これが本当に動物愛護法にもとづく基準策定の委員会なのかと驚くほどです。

 動物愛護法は、人間の圧倒的な支配下におかれている動物を、非人道的な虐待や殺害から守るという日本で唯一の法律です。その中でも、生きながら毒を飲まされたり傷つけられたりする実験動物は、法律がなければ守られることのない立場にある最大の弱者です。

 このような観点から諸外国では実験動物の保護を目的に動物保護法が制定されてきました。しかし日本では「科学という信仰」がはびこっているため、動物保護や生命倫理は科学研究の邪魔だといった研究者の主張のみが重んぜられ、動物の犠牲を少しでも減らしなくしていくことを願う一般の人々の声が法制定の現場にはなかなか届かない状態です。

 そのことは、この実験動物小委員会の構成をみればよくわかります。動物の代弁者として動物福祉団体の委員が1名いるのみで、生命倫理や法律関係者等の一般社会を代表する人はおらず、ほとんどが実験研究側を代弁する者で構成されています。

 しかも、実験側の各委員は、それぞれが自分たちの業界の都合と利益のみを主張し、実験動物の福祉目的の基準を作るためにどのような協力ができるかという前向きの発言はまったくありませんでした。

 鍵山委員に至っては、この基準はいずれにせよ「自由基準」だから強制力はないという趣旨の発現をしていました。

 委員自らその程度の認識しかもっていないのなら、研究者たちにこの基準を遵守させることは難しいでしょう。どのみち遵守されない基準であるのなら(それを遵守させるツールが欠けている)、作ること自体の意義がどこにあるのか、ということになります。

 また、実験者側の委員たちは、地震等の緊急時や感染症発生時という緊急事態においてさえ、関係行政との連携は必要がないという発言をしていました。自分たちも地域社会の一員であるという認識が欠けています。このような公的な場での発言を聞く限り、動物実験者たちには社会に対する責任感があるのかどうか、疑わしい限りです。

◎動物愛護法に基づく実験動物基準である以上、最低でも委員の過半数は一般社会の常識を代表する有識者や動物の愛護・福祉・保護の側に立つ人々で構成されるべきです。

■議事録の公開もないままにパブリックコメント

 この基準案をみるだけでは、何が議論されてきたのか背景は何もみえてきません。小委員会で何が議論されたのか、どのように基準に反映されているのかさえ一般にはわからないのです。

 それを明らかにするのは議事録ですが、いまだに公開されていません。実験側の委員が何を発言してきたのか、議事録の公開がないままにパブリックコメントをすること自体、国民が十分な情報に基づく正しい判断をする機会を奪っているように考えられます。


H18.03.17 動物愛護部会 実験動物小委員会(第4回) 議事要旨
H17.12.05 動物愛護部会 実験動物小委員会(第3回) 議事要旨
H17.10.26 動物愛護部会 実験動物小委員会(第2回) 議事要旨
H17.10.03 動物愛護部会 実験動物小委員会(第1回) 議事要旨

◎速やかな議事録の公開のもとにパブリックコメントを行うべきです。


■パブリックコメント意見の送付先

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
110-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
Fax.03-3508-9278 e-mail:shizen-some@env.go.jp

 

 

 

意見募集(パブリックコメント)

動物愛護部会
実験動物小委員会

委員の構成
第4回 議事要旨
第3回 議事要旨
第2回 議事要旨
第1回 議事要旨
 

 
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