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こんな動物実験が必要ですか?

【連載コラム】動物実験見聞記(9) AVA-net News No.139

橋爪 竹一郎(宝塚造形芸術大学教授・元朝日新聞論説委員)


密室の外の人々はこう考える

 

 前回は「動物の立場を配慮する」実験当事者お二人の投稿を紹介した。密室の内部に精通する大学教員、開業医の証言から多くの問題点が明るみに出、その提言は説得力があった。今回は外部からの指摘や意見を特集する。

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納税者に情報開示し、チェックを受けよ
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 最初は動物実験にくわしそうなフリーライターの人。動物実験にも国民の税金が使われている。その費用計算にも国民は目を光らせるべきだ。そのためにも実験関係者・施設は情報を公開する義務がある、と鋭く迫る。
 「日本の動物実験に関しては、どこの施設で,どのような内容の実験が、どれほどの数、行われているかーーこんな基本的事実さえ把握されていない。医薬学系だけでも千を超える学会があり、毎年万単位の研究発表があるが、極度に専門化した、研究のための研究、という色彩が非常に濃い。
 そのほかにも研究の優先性や企業秘密という名のもとに多くの重複実験や失敗した実験データが埋もれ廃棄されている。研究にはムダはつきものだとか、マイナスデータも必要だとかいう意見も聞くが、動物の命と費用をばく大に消費するツケは、すべて私たち納税者や消費者にかかってくるという視点がまったくなおざりにされている。
 まず、実態の調査、情報の公開、第三者による査定などによってむだな実験をなくすることが先決だ。
 研究者たちは何かというと、『動物実験は医学の進歩に役立っている』と言いたがるが、医学的知見が増えることと臨床の医療が改善されることは別問題。このあたりが意図的に混同されているために、動物実験をすればすぐにも病気が治せるというような幻想がまかり通ることになる。
 生命に対する研究は、容易に生命を脅かすものとなり得る。だからこそ、ことさらに生物医学の研究には倫理が求められ、研究が公開され社会的に論議されていくことが必要なのだ。」=匿名(東京都、フリーライター)

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研究者のごう慢さに怒りと驚き
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 つぎに動物実験に精通していない一般の人たちの怒りと驚きを。

 「通信教育で学ぶ学習心理学にも動物実験の例は多数出てくる。生後間もない動物を感覚遮断したり、恐怖や電撃を与えたり。動物実験は臓器移植の問題とも似ている。人間の生命軽視が底でつながっている。」=O.T(西宮市、日本語教師)
 「日ごろ、新聞や雑誌で動物実験の成果らしい記事ばかり見て何かおかしいと感じていた。研究者たちは自分を弁護するために難しい理論を並べているというのが私の感想だ。動物には<科学的な意味での苦痛>はない、と述べている研究者がいたが、なんというごう慢だろう。科学で証明されないと苦痛があるとは認めない。その態度こそ動物実験の方法論的過ちを証明しているように思う。」=N.T(大阪府、教師)
 「たいへん考えさせられた。怒りと疑問がたくさん出てきた。医学のことは素人にはよくわからないかもしれないが、それでも『こういう病気の対策のためにこういう実験が必要だから』と世間に公表して了解を取るようにしてほしい。」=堺市槙塚台、原戸美都子。
 「人間、しかも健康で優秀な頭脳を持った人間以外は切り捨ててもかまわないとも受け止められる科学者の傲慢な考え方には寒気をもよおす。たしかに動物実験のおかげで有効な薬ができ、救われることもあるだろう。しかし、その犠牲になった動物たちに感謝と畏れ敬う気持ちを持つことなくして本当に人間を救う薬ができるのだろうか。」=D.S(豊中市)
 「心臓が飛び出すほどのショック。人間も植物、動物たちと同様、地球に生かされている存在なのだ」=I.S(西宮市)
 「動物実験なしの化粧品類を使って1年。肌にへんな刺激を与えずとても快適です」=O.S(広島県)
 「弱いものをかばう心を失ってエゴにブレーキがかからなくなった人間はどうなるか。日本の動物実験のありかたを知ると、つくづく日本人の心の後進性を思う」=S.H(神戸市)

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電極の冠をかぶせられて永久に眠れない猫
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 新聞の動物実験特集で、頭蓋骨に電極を挿入された猫の写真を使ったことがある。猫は電極の刺激を受け続け、永久に眠れない状態にされて、各種の実験を受けるのだ。電極の冠をかぶせられた猫の悲しそうなつぶらな目がこちらをみつめている。そのときの投稿。

 「猫の写真をみて少し泣いたあと、気持ちを取り直して手紙を書いています。私の健康が多くの動物の犠牲に寄って成り立っていることを考えると自分の存在が許せなくなります。
 『あなただって医学の恩恵を受けているでしょう』といわれれば、ぐっと詰まる。そして私からも研究者に反問したい。『あなたは今の医学のままでいいのか、と』。ちょっと考えれば医学のマイナス面も大きい。私はもうたくさんだ。はてしがない。これまでの自分を恥じ、動物実験はいらないと叫びたい」=T.Y(滋賀県)
 「命あるものはみな同じ魂の重さを持っているとおもう。今ではすべてが命あるものでさえも人間の所有物になってしまった。頭のいいものの勝ち、といってしまえばそれまでだけど」=N.T(兵庫県)
 「人間が世の中で一番えらいというなら、人間しか持たない慈悲の心を持つのが当然でしょう。実験動物の運命をおもうと、私自身生きているのが罪深く、悲しくなる。暗いトンネルに入りこんだ気持ち」=I.Y(兵庫県) 
 「まるで『オレはお前たちのために動物を殺しているのに、反対するならもうお前たちを助けてやらない』という意味の発言をしていた研究者がいましたね。そんな人に私は助けていただかなくてもいい。それで私が死んでも結構です」=O.K(大阪府)

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2通の実験擁護派!?
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 実験を擁護する投稿が2通あった。そのうちの1通は年配の高校の生物教師だった。一応、擁護派に分類したが、細かい字で落書きのように書き込まれた添え書きを読むと、単純な擁護論者ではなさそうだ。人間が生きていくうえでどうしようもない悲しい宿命のようなものが漂っている。
 「われわれは動物実験を経て開発された薬や医療技法をいっさい拒むことができるだろうか。
 焼き鳥、ハンバーグ、ハムを食べるとき、その動物の飼育から食肉処理に至る過程をどう考えるか。
 ハイウエーができ、シカ、クマ、タヌキなど野生動物は悲しんでいるが、われわれはハイウエーの建設を認めず、利用しないのだろうかーー。
 動物実験も含めた研究の積み重ねの上に近代医学が成立していることも忘れてはならない」=匿名(横浜、高校教師)

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小さな字で宮沢賢治の文章を添え書き
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 上記の趣旨が6枚の便箋にびっしり書かれている。よく見ると、小さな字で添え書きがある。
 「獣肉、鳥肉。小屋に閉じ込められ、監禁、強制肥育。食肉工場へ引率されるとき、牛や馬は涙を流すという。」
 「豚はもう目もあけず、頭がしんしんなり出した……いったいこの物語はあんまり哀れすぎるのだ」

 電話で問い合わせると、その初老の生物教師はしわがれた、少し沈んだ声で次のように話してくれた。
 「豚の物語はーー宮沢賢治の『ブランドン農学校の豚』という童話から抜書きしました。食肉にされる前の豚の心理を描いたくだりです。賢治はある時期から菜食主義者になりました。病気になり、医者からかしわをすすめられたときも拒みました。人と動物の共存を選ぶのは覚悟がいるんですね。人が生きていくのもつらいことですね」

 私もどこかで宮沢賢治が<世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸せはあり得ない>と書いていたのを記憶する。その「ぜんたい」のなかには、動物たちもはいっているのだろう。生物教師の投稿、電話とあわせて、何かかなしい、やさしい、そしてそんな日は永遠にあり得ないという諦観と無力感のようなものが伝わってくる。

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半歩でも一歩でも前へ動こう!!
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 しかし、と私は改めて思いなおすのだ。身を奮い立たすのだ。こういう生物教師のような識者の「分かっているが、現実はねえ」的な物分りのいい1件落着パターンが、じつは獅子身中の虫であることを強調したい。
 だから動物実験は改革されない。かわいそう、かわいそう、とつぶやきながら動物の悲惨はずっと繰り返されている。寝ころんで思案したり、おセンチな物思いにふけったり、迷って立ち往生したあとは、まず行動だ。現実に飛び込み、具体的に動き出さないかぎり、コトは始まらない。現実の具体的な場面で格闘している人たちが実際にたくさんいるではないか。大きなことはできなくても、自分たちのそれぞれの場所で、できる範囲で、半歩でも一歩でも前に進もう、とつい私は熱く自分に語りかける。

 ついでにもう一通。国立大学の院生らしいが相当にレベルが落ちる。
 「メーカーは金の力でじつに残酷な実験をしている。国立大学は真理研究の場で、ひどいことはしていない。一般に公開しないのは素人にはわからないからだ。もっと大学に金をくれるならともかく素人が大学に口出しすべきでない」   

 何を言いたいのかわからない。それに研究費は乏しいとはいえ、税金で賄われている。国民は納税の義務があり、それがどう使われているかチェックする権利もあるんだ。意識のすすんだ諸外国では、一般人も加わった委員会で実験の目的や方法をチェックし、残酷、不合理な実験はさせないんだ、研究費をあげないんだ。
 日本の素人だって残酷さや動物福祉のことぐらいはわかるよ。科学・研究を水戸黄門の印籠のようにふりかざしたがる専門バカに成長しないようにね。

 

 

 

 

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