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 HOME >病院勤務医の悪夢のような経験にどう答える? 動物福祉をアピールする先駆者・前島一淑慶大教授を直撃!
 
 

こんな動物実験が必要ですか?

【連載コラム】動物実験見聞記(6) AVA-net News No.136

橋爪 竹一郎(宝塚造形芸術大学教授・元朝日新聞論説委員)


病院勤務医の悪夢のような経験にどう答える?

動物福祉をアピールする先駆者・

前島一淑慶大教授を直撃!

 

 前島一淑・慶応大学教授とのインタビューに先立ち、私は1通の文書を用意した。30代の病院勤務医から私に寄せられた内部告発の手紙である。動物実験のあり方を質そうにも、私は門外漢であり、密室の実験の様子を見たことがない。この文書を味方につけて、前島教授にぶつかっていくほかはない。事前に文書を前島教授にお見せし、それにこたえてもらおうというわけである。文書はつぎのようなものだった。

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 麻酔していないウサギ20匹の首の血管を次々もぎとっていく教育実習
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病院勤務医の証言

 「15年まえのことだけど、いまもあのウサギたちの悲痛な悲鳴が悪夢のように耳に残っている。学生時代、心筋に対する薬物実験の基礎実習があったときのこと。指導教官がウサギから頚動脈をとって失血死させるのです。ウサギには麻酔をしていないのです。20匹のウサギがつぎつぎ殺されていく。百二十人の学生のために実習という名目とはいえ、何の罪もないウサギたちの命を絶つ権利が人間には与えられているのだろうかと考えさせられた。
 卒業後も、友人の多くが実験サンプル採取目的のためにラットの首を切っているのを見た。
 基礎データを取るために小動物を利用することは臨床応用として必要悪かもしれない。しかし、医学の発展、人類の健康という名目のもとでその犠牲のすべてが正当化され、許されるのだろうか。あまりにも素朴な疑問だが。
 人間は生物界の頂点に立ち、底辺を支える動植物の侵略、乱獲を繰り返してきた。悠久な歴史に培われた自然界の恩恵を忘れてしまっているように思う。
 はじめ動物を一匹殺したとき、だれしもその死は痛ましく感じられる。でもそれが度重なるといつかマヒし、単なる統計数字になるのだ。
 ヘルシンキ宣言に始まり、生命倫理に関する問題は人のみならず実験動物も含め地球上の生物、ひいては広く生態系すべてに考慮されるべきことがやっと議論され始めた。
 動物を用いた実験を行う以上、倫理に従い、その死を無駄にすることなく、可能な限り少ない犠牲を心がけるのは当然だろう。
 医師にとってもっとも必要とされる資質は、弱者を思いやるやさしい感性だ。しかし、ともすれば医学教育の課程においては命の尊厳に対して鈍感に慣れさせることがあまりに多いのは、医師だれもが経験するところである。
 偏狭な動物愛護論と一笑されるかもしれないが、日々実験に供され、犠牲となるおびただしい数の小動物の一つ一つの死が意味するものを考えたい。望むらくはそうした実験がいつかなくなることを願う」

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 学位論文に新味を出すため、安直に動物実験に頼る
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 この医師によると、臨床医で学位をとろうとする際、動物実験をする例が多くなっている。臨床データだけではもはや新味を出すのが難しくなり安直に動物実験に頼る傾向がある。
 また、学会でも研究発表が過熱し、動物実験がどんどんふえている印象だという。動物の需要が増えることは喜んでいいのか、悲しむべきなのか…。
 私はやっぱりこんな良心的な医師が存在することに感動した。

この手紙に対する前島教授のコメント

 「動物実験は金も手間もかかる。毎日観察しなくてはいけないし、決して楽な作業ではない。学位論文のためなら、むしろ大腸菌や酵素を利用した実験のほうが簡単だ。(手紙に書かれているように)臨床医が学位取得という目的で安易に動物実験を行っているとは思わない。
 実習の件は動物保護の立場の人からよく似た抗議を受ける。この文面だけではよくわからないが、一般論としていうと医学生は将来さまざまなコースに行く。その医師は無意味に思ったかもしれないが、ほかの学生にとってはとても意味のある実験だったかもしれないでしょ。」

 --ウサギの苦痛を和らげるために、せめて麻酔をしてから解剖するような配慮はできないのですか?

 「いや、麻酔をしないのにはわけがあります。麻酔をすると数値に影響が出る。麻酔なしの実験もむろんあり得るのだ。それが重要なら仮に残酷であってもやむを得ないと思う。むろん動物福祉に背いてよいというのでないが。」

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調査で判明!「最低限の実験動物飼養基準さえ知らない管理責任者たち」
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--前島先生はつねづね『一般社会から出た批判には研究者も一般社会に通じる言葉で説明しなくてはならない』とおっしゃっている。とても明快でフェアな態度です。でも私が取材を通じて痛感したのは研究者側にある『寄らしむべし、知らしむべからず』の姿勢です。私たち一般社会の人間は、もの言わぬ動物たちから取材することはできないという、いわばハンディを負っています。
 どの研究者も口を開けば『関係法律に照らし倫理性、安全性を守り…』と強調するけれど、例えばさきの実験動物学会の調査では最低限のとりきめさえ知らない責任者がけっこういましたね。
 国内の大学、公的研究機関、企業に設置されている五百二十一の実験施設で実質的な管理責任者のうち、『実験動物の飼養及び保管に関する基準』という法律があるのを知っていたのは88%、内容を知っていたのは70%にすぎないという結果も出ています。責任者でさえこの有様。犠牲になる動物たちは浮かばれません。

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大多数の研究者は「動物福祉・愛護と聞くだけ」で反発する
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 前島教授「動物の苦痛に関するシンポジュウムを開いたのも研究者が動物福祉に関心を持とう、という狙いがあったからです。あのころは医学・生物界では動物福祉と聞いただけで反発する、動物愛護さえ理解の外、という研究者が大多数だったのです。
 動物の苦痛軽減をテーマにすること自体が<非常識>な状況だったことをわかってほしい。それ以来,遅々とした歩みかもしれないが着実に研究者の意識は進んできている。」

 --動物実験の事情をあまりにも密閉しすぎる気がします。オープンにできるところはもっと開放したらどうでしょう。そのほうが無用な摩擦、疑惑をまねかないとおもいます。

 前島「うーん、研究者が陰で残酷なことをしているから一般の人たちに<知らしむべからず>の姿勢をとっていると、いちがいに思い込まないでほしいですね。例えば私ども慶応大学では以前、動物保護活動家の人たちにも広く実験施設を公開したことがある。この人たちはまるで査察官のような言動を研究者に浴びせ、机の引き出しを無断であける、誤解に基づく文章を発表する、でたいへん迷惑しました。どんな職場にも一定の秩序が必要なことは言うまでもないでしょう。だから、それ以後、公開をやめたのです。お断りしている」

 確かに一部の活動家は感情が高ぶり、ときにラディカルな言動に出ることはあるかもしれないと私はおもった。後日、野上ふさ子さん(当時、「動物実験の廃止を求める会」のリーダー)にこの話をしたことがある。野上さんは「私はその場に居合わせなかったからなんともいえない」としたうえで、「ふつう、研究者の人たちは、公開、と大見得をきるけれど、実際はかんじんなところはなにも見せてくれないのですよ。だから、メンバーの人たちもなにかほかにないか、と探すのだと思います。」
 前島教授を私に紹介してくれたのは野上さんだった。ふたりとも立場は違うが、動物愛にあふれ、見識もある、すぐれた人だ。このコンビが手をつなげば、もっともっと前進するだろうと期待していたが、その後、だんだん2人は疎遠になっていった。

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一般人でなく〈資格をもつ査察官〉の立ち入り制度の確立を
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 前島「活動家の人たちはいま施設の公開を要求している。私も公開の原則には賛成だが、それは不特定多数が任意に施設に立ち入ることではない。できるだけ早く法律を整備し、一定の能力と資格を持つ<査察官>の立ち入り制度を確立することを私は望んでいる。
 実験動物の福祉に関して、以前は、わが国の医学生物界のモラルはお話にならない状態だったことは確かだ。まず研究者側に道徳の啓発が必要な時代だった。すこしずつだが、進んできている。実験動物のみならず、人が占有するすべての動物について、だれが、どこまで、どれだけの責任を分かち合うかを遅まきながら真剣に検討すべきでしょうね」

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科学全般を否定するのでない、科学の過ちの側面を訴えている!
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 「医学の恩恵」「科学の進歩」とは多くの研究者たちが動物保護活動家に、これが目に入らぬか!と突きつける水戸黄門の印籠である。この決まり文句に、以前、野上ふさ子さんは次のように話した。
 「動物実験を否定するのなら新幹線にも乗るな、という研究者のセリフをよく耳にします。私たちは科学を否定しているのでなく、科学の持つ過ちの側面を問題にしているのです。科学は万能か、そのあり方は正しいのか、それがいま、問われている時代ではないのでしょうか。
 例えば水俣病の例を思い出してほしい。密室の中で暴走しがちな科学や技術の行き過ぎを明らかにしよう、まして、動物はわれわれと同じ生き物でしょ。市民の目からみて改めるべきは改めようとアピールするのは当たり前のことではないですか」
 野上さんは個人的には動物実験は廃止すべきだと考えているが、現実的な団体運動としては情報の公開と法による規制を求めていく方針だそうだ。

 

 

 

 

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