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 HOME > アホらしく、バカげた、意味のない「果てしない実験的研究」の数々  
 

こんな動物実験が必要ですか?

【連載コラム】動物実験見聞記(3) AVA-net News No.133

橋爪 竹一郎(宝塚造形芸術大学教授・元朝日新聞論説委員)


アホらしく、バカげた、意味のない「果てしない実験的研究」の数々

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実験犬を逆さ吊りし・脳を取り出し・目をくり抜く?「密室の科学」の闇を照らす内部告発の光
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 動物実験の闇が照らし出されるのは、内部告発などごく限られた幸運なケースによることがほとんどだ。だが、それほど大がかりでない、日常的な、愚劣で意味のなさそうな、残酷さだけが一人前のようなミニ研究なら、一般に公表されている学会誌や論文でもけっこう拾えるようだ。
 「動物実験廃止・全国ネットワーク」と「地球生物会議」の代表を務める野上ふさ子さんの著書「新・動物実験を考える」の中で、『果てしない実験的研究』とうまいタイトルでそのいくつかが紹介されている。

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どのくらいの打撃で胸部を取り返しがつかないまでに損傷できるか
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 生きた子豚三頭に暴れない程度の軽い麻酔をかけ、小石を握った拳で胸部を激しく殴打し、障害の発生機序(仕組み)を記録する。小石をもった手の殴打速度の最大値で肋骨が骨折し重大な肺の損傷が生じた。殴打速度が高いほど、子豚の受ける損傷は大きくなるという結果が得られたが、ただし「ヒト幼児の胸部の変形挙動を検討するにあたって、子豚による実験データを、たとえ体重が等しいといえども、そのまま適用することには困難がある」(日本法医学雑誌、1989年)

=子豚の胸を力いっぱい殴ったら、肋骨が折れ、肺に大きな傷ができた。さらに早く殴れば殴るほど子豚ちゃんの傷は大きくなることも究明した。けど、人間の幼児にはこのデータは使えないよ。なんだ、こりゃ!?
あたりまえじゃないか、わかりきっているじゃないか。

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どのくらいの量で酸素を欠乏させると窒息死するかの実験
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 雑種成犬(飼い主に捨てられ行政から払い下げられたペット)25頭に酸素濃度5%、3%、2%前後、1%のガスを吸わせてみたら、

*1%前後群では、5,6分で犬たちはすべて死亡。
*1.8%および2%濃度群では同じく5,6分ですべて死亡。
*2.2%濃度群では3頭がそれぞれ8分、10分、16分後に死亡。
*3%濃度群では5頭が30分?90分後に死亡。
したがって、犬では2?2.5%程度の酸素濃度が短時間で死ぬ臨界値である。労働災害などで酸欠で死亡する場合の酸素濃度もこの程度であろう。
(法医学の実際と研究、1989年)

=だから、どうしたの??

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歯髄にどのような電気刺激を与えるとどのように反応するか
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 成猫12匹を脳定位固定装置に付け、左側頭筋の一部と左眼球を除去し、前頭骨と頭頂骨の一部を切除して、ステンレス製スクリューねじを左右3か所に装着し、電極を差し入れた。上下左右の犬歯の歯髄に電気刺激を与え、皮質ニューロン活動を記録した。
(日本大学歯学部、1989年。同じような実験が猫20匹を用いても行われている。)

=猫の目玉をくり抜いて、かわいそうに。それで何があったの? どんないいことがあったの? どんな学問的貢献があったの?

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電撃ストレスを与えたラットの脳はどうなるか
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 ラット40匹を用い、3秒間に1回、および30秒間と1分間に各1回ずつ13?15時間連続して電気ショックを続けた後、殺して脳を摘出し脳内アミンのノルエピネフリンとドーパミンの含有量を測定した。ノルエピネフリンは3秒間に1回の電気ショックという逃れようのない絶望的ストレス、刺激の絶対量に反応するのに対し、ドーパミンはショック間隔の長い間、ラットはその時間が来ると走り回ったり飛び上り、立ち上がったりして不快感を避けようとし、心理的、情動的要因によって影響を受ける可能性が示唆された。さらに定量的な実験が必要である。
(航空医学実験隊報告、1987年)


=電気ショックを受けりゃ、だれだっていやなのだ。それを絶望的ストレス、刺激の絶対量なんて、利いたふうな口をたたくなよ。人もラットも生きものは同じように絶望と刺激にこだわり、反応しつつあの世に近付いているんだ!

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電撃ストレスを与えたラットの脳はどうなるか
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 ラットの脳の視床下部を破壊して肥満状態にし、強制回転機の中に入れ、毎分10メートルの速度で1日60分、週5回で6週間運動させる。そのあと、心臓から採血し、殺したあと肝臓を調べた。その結果、持久的な運動は体重および血中脂質上昇への抑制効果が示された。これによって減量や肥満症の運動療法への応用が期待される。翌年には、ラットに高脂肪高糖質食を与え食餌性肥満状態にして、同じ実験を繰り返し、同じ結果を得た。
(東海大学スポーツ医科学雑誌、1989年、1990年)

=運動すりゃ体重減るってことだろ。こんなことして2年間も遊んでいちゃだめ。早く学生の本分に戻って勉強なさい。

(それぞれ末尾の寸評は同書にはありません。筆者が追加したものです。)

 「このようなことは何も実験しなくても、私たちが日常的な経験の中で知っていて、類推でだいたいのことを判別できることなのです」と野上さんも小学生に諭すように書いている。
 上記の事例とは対照的に、ときどき動物実験の成果が派手に報道されることがある。野上さんは、「ワラビには発ガン性がある」という話題を取り上げている。その実験はネズミに毎日ワラビだけを大量に強制的に与えた結果であり、人間の体重に換算すると、毎日、何十年間も茶碗に何杯も食べなければならないことになる。
 同じようなことを私も知り合いの有力な医学者から聞いたことがある。ハーバード大学に留学し、国立大学の病院長などを歴任した人だが、「動物実験は普通では考えられないような異常な条件でやりますからね。そんな条件環境は現実にはあり得ませんから。まあ、ニュースになるだけの話ですよ」と苦笑していた。

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「科学的な意味では動物に苦痛はない??」
初の動物福祉シンポジウムのお粗末テーマ
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 野上ふさ子さんは上記の著書で「日本には〈実験動物〉学会はあるが、〈動物実験〉学会は存在しない。法律や基準についても、欧米の動物実験に対する法的規制は〈動物実験〉という行為を対象としているが、日本では〈実験動物〉に対する基準だけだ」と書く。その理由は日本の研究者たちは専門化され、細分化された研究に没頭するが、実験の土台をなす倫理や哲学について、考えたことがないからだ、と指摘している。 
 おっしゃる通り、倫理・哲学の不在は、動物実験に限らず、日本のもろもろの分野で共通するように思われる。視野の広い、すぐれた日本論の素材だが、この点はスペースの関係で別の機会に譲らせてもらおう。
 さて、日本で動物福祉の問題が公式に取り上げられたのは1985年の第33回日本実験動物学会総会が最初だ。残酷な実験への批判が世論から続発したためで、獣医師、動物福祉活動家、それに国語や麻酔の専門家、農学関係者らも出席した。(以下、肩書きは当時のもの)
 鳴り物入りの総会だったらしいが、記録をひもといて、まずバカバカしくなるのは、テーマの立て方だ。

「そもそも実験動物に苦痛はあるのか?」だって。
つぎに、「いったい人間は動物の苦痛を察知できるのか?」だって。
 ばかにするな。うちの犬だって、蹴れば「キャン」と鳴き、猫は耳を引っ張れば「ニャン」と逃げる。以下にやりとりの要点を紹介するが、一部研究者らのあまりの鈍感、無神経、ピンぼけ、非情、いや想像力の欠如ぶりにはあいた口がふさがらない。これでは密室でどんなことをやっているかわかったものじゃないと思えてくる。
 動物もサインで苦痛を表現できます!!

 こんな設問を出されると動物福祉の活動をしている人たちもしゃちこばった答え方にならざるを得まい。
日本動物福祉協会の山口千津子さんは「動物はサインで苦痛を表現することができる」とつぎのように発言している。

 「苦痛とは本来それを受けた人や動物における主観的なもの。人の言葉を話さない動物の苦痛を客観的に評価することはむつかしい。しかし、愛情を持った者による動物の生理学的所見や姿勢、態度、行動、表情などの詳しい観察からその苦痛を判断することは可能だと私は思う。
 例えば、呼吸、脈拍が早くなる、瞳孔が開く、身体の一部をかばう独特の姿勢、うずくまる、さまざまな鳴き方など。人が言葉で表現しているのと同じような肉体的痛み、精神的苦しみが動物にも存在すると私たちは考える」
 そのうえで山口さんは、狭く不備なケージに閉じ込められた実験動物のさまざまなシーンを写真で説明した。


(1)ケージが小さすぎてゆっくり足を伸ばして横になれない大型犬。
(2)床が細い金属棒のため、犬の指の間に棒が入り込み、不安定な姿勢をしいられている犬。指の間にそのうち炎症を起こすのは確実だ。
(3)低いケージに閉じ込められ中腰にさえなれないサル。肉体的にも精神的にも異常をきたすに違いない。
 そして「人間が自分たちの利益のために、動物が望んだわけでもない苦痛を動物に与え、時にはその命を奪うのであるから、できるだけ苦痛を軽くし,苦痛を受ける動物の数を減らすことは人間の務めだ。また、苦痛で異常になっている動物を用いた実験から良質の情報が得られるはずがないので、こうした倫理的な配慮は科学的な目的にもかなっている」と結論付けている。
 控えめで、しかも具体的なデータをそろえ、なかなか理を尽くした名答弁と、門外漢のボクにはおもわれる。これを受ける立場の実験動物中央実験所の安東潔さんのコメントを読むと呆然とする。あまりのエゴと、レベルの低さ、野上ふさ子さんの指摘する倫理・哲学の不在にただただあんぐりするばかりだ。総合討論でつぎのようなことを言っている。

 

 

 

 

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